みなさん こんにちは。
大塚アキコです。
2024年3月17日。縄文土器づくり最終回を迎えました。
最終回は、土器を野焼きして、完成させます。
もくじ
1か月乾燥させた土器と久しぶりにご対面
前回、成形が終わってから、1か月間ほど乾燥させました。
そして、本日野焼きを実施します。
焼く前に、外に出して、さらに最後よく乾かします。
この時点では、まだ、焼かれていないので、水を含ませると粘土に戻るそうです。
野焼きの準備
火を使うため、スケジュールや役割分担がしっかりと決められています。
野焼きの場所は大塚遺跡の隣の遺跡公園です。竪穴式住居やかやぶき屋根が同じ敷地内にあるため、火の取り扱いには十分注意を払います。
また、天候は晴れていて、風のない日を選びます。
野焼きの土台作り
この日は118個のブロックを運び、野焼きの土台と、スープづくりを行うかまどを作成しました。
野焼きの土台
スープづくりのかまど
焼く土器はしっかりと天日に干して乾かします。
薪は25束用意しました。薪は横浜 縄文土器を作る会の方々がご用意してくださいました。
乾燥させた小枝などに火をつけて、まずは火おこしをします。
乾燥あっため 60分
土器をいきなり火の中に入れてしまうと、急激な温度変化に耐えられず、壊れてしまうことがあるとのことで、徐々に土器を火の温度にならしていきます。
そのための作業が、「あっため」です。
火のそばにおいて、少しずつ温度にならしていきます。10分毎に火のあたる面を変えていき、側面だけではなく、中と底もあっためを実施します。
だんだんと熱くなってくるため、軍手の上にさらに革の手袋などをつけて向きを変えていきます。中を温めるときは、かなり高温です。
倒した姿、かわいいです(笑)
炙り40分
あっためが終わったら、さらに日に馴らすために、「炙り」を40分行います。炙りは薪を土器の周りに格子状に配置します。
土器の手前側にもだんだんと火が回ってきます。
炙りを40分行ったら、次は本焼きに入ります。
いざ、本焼き!
本焼きは、土器に対して、薪を井桁状に積み上げていきます。土器が完全に隠れるくらいの高さまで薪を積み上げます。そして、火が、全体に回るように調整していきます。
こんな感じで積み上げます。
本焼きは火がかなり上がります。作る作品によっては、かなり炎が高くまで上がります。
本焼きのピークが過ぎると、だんだん薪が炭、灰のようになってきます。
本焼きの終盤。
灰の中から、姿をあらわす、できたての土器。
野焼きは1000度は超えないそうです。900度くらいまでしか上がらないとのことです。
土器をさます
焼きあがった土器を別の場所においてさまします。取り出すときは、木の棒を使って運びます。これが素晴らしい技でした!
土器に優しく木の棒を入れます。ゆっくり倒していきます。
倒したら、ゆっくりと木の棒を持ち上げて、土器をひっかけるようにして持ち上げます。中に灰が入っているので、なるべく逆さにして、灰を落とします。これが結構重くて大変でした。
そのあと、乾かす場所まで運び、ゆっくりとおろします。
木の棒を使って、ゆっくりと土器を起こしていきます。
この作業が集中して大変でした。
完成した土器について、学芸員の橋口さんより講評
出来上がった土器について、橋口さんより講評をいただきました。
「みなさん、上手な土器ができています」との評価をいただきました。
縄文土器というと、かっこいい火焔型土器など、すごいものばかりが出土しているように思いますが、実際はへたっぴな土器もたくさん出ているそうです。そういった、うまくない土器は博物館の倉庫などに保管されているそうです。
うまいという基準は、縄文土器のルールにのっとって作られているかどうか?だそうです。そういう点では、今回私たちが作成した土器は、縄文土器のルールにのっとって作られたという事だそうです。
また、どんなによく作ったとしても、野焼きした時にひびが入ったり、割れてしまうことがあるそうです。
割れた土器は、土器に穴をあけて、紐を通して縛って使っていた痕跡もあるとか。
焼き色などは、コントロールすることはほぼ不可能だそうです。
並べてみると、すごく黒くなっている土器もあれば、赤っぽいものなど、同じ土なのに、全然違います。
縄文土器で作ったスープ
貝塚から出土しているもので、おそらく食べたいであろう食材で2種類のスープを作っていただきました。
土器は水がどんどん抜けていくため、適宜水を足していました。また高火力でないと沸騰できないため、薪も焚べていきます。
写真下の土器には、山で採れそうな素材。
上部よ土器には、海で採れそうな素材を入れて、飲み比べさせていただきました。
海のスープ↑
優しい味のスープでした。時々タラが口に入ると、優しい旨みがふわっと口に広がりたく。
↑山のスープ
こちらは鴨が入っており、こちらも旨みがたっぷりのスープでした。
土器の計測
焼き上がった土器のサイズと重さを測りました。サイズはそこまで変化はありませんでしたが、重さは軽くなっていました。
自宅での水もれの確認
自宅に土器を持って帰り、どれくらいの水が漏れるのか?確認してみました。
水を入れて数分経つと、見えていなかった細かいヒビから水もれが。。。
目止めと呼ばれるデンプンの入った水を茹でてどれくらい変化があるか、今後追っていきたいと思います。
お礼
今回は横浜市歴史博物館の実験考古学の講座に参加させていただきました。
講師の橋口さん、そして、サポートしてくださった、横浜縄文土器をつくる会の皆さんにお礼を申し上げます。
また、この講座があることを教えてくださった友人のKさんにも感謝です!
ありがとうございました❣️
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